1日のベストは可処分時間とは?時間がたっぷりありすぎても満足できない理由
今回は「最もベストな1日の可処分時間」について解説します。
可処分時間とは、「自分で自由に使うことができる時間」をいいます。
例えば、
- ゆっくり本を読む
- スマホでゲームをする
- 友達と食事をする
などがそうですね。
そのため、仕事や家事などのやらなければならないものは可処分時間には含みません。
この自分が自由に使える「可処分時間」については、
- 自分の自由な時間がたっぷりあったら幸せだろうな…。
- 早くFIRE(お金を貯めて早期リタイア)できたらいいな…。
- 思い切って1か月くらい南の島でゆっくりしたいな…。
といった願望を僕らは抱いたりします。
普通に考えれば、仕事や家事ばかりに時間を使うよりも、毎日のんびり過ごしたほうが幸せになれそうな気がしますよね。
ですが近年、時間の使い方の研究をみると、必ずしも自分の自由な時間がたくさんあればいいわけではないことがわかっています。
実際、時間の使い方の専門家キャシー・ホームズは、
- 自由な時間がありすぎても、人生の満足度は低下する
と述べています。
自由な時間が全然なくて満足しないのは分かりますが、たっぷり時間があるのに満足できないとはどういうことでしょうか。
そこで今回は、「僕らにとって最適な可処分時間は何か?」について具体的に解説します。
時間はなさすぎてもありすぎても不幸になる?
結論からいうと、自分が自由に使える可処分時間は
- 1日「2時間から5時間まで」
が最適です。
これはアメリカ人数万人を対象に、1日の活動と人生にどれだけ満足しているか調べた「生活時間調査」をもとにわかったものです。(R)
このデータは、実際にいま勤務している人以外にも、仕事に就いていない人も含めて調査が行われています。
キャシー・ホームズらがこのデータをもとに1日の活動と人生の満足度について分析したところ、以下の結果がでました。
縦軸は幸福度、横軸は自分が自由に使える時間です。
このグラフを見てみると、ちょうど虹のような逆U字曲線になっています。
面白いのは、時間があればあるほど幸福度が上昇しているのではなく、
- 両端が不幸せに向かって下がっている
ところです。
まずは、比較的イメージしやすい時間がなさすぎると不幸になる理由について解説します。
時間がなさすぎると不幸になる理由
僕ら現代人は、時間に余裕のある人よりも、時間に余裕のないと感じている人が多い傾向にあります。
実際、時間の感覚に関する研究をみてみると、
- 基本的に世界各国の人々は、時間が足りずにあわただしい日々に苦しんでいる。
- たとえば、アメリカ人の半数近くは「やりたいことをすべてこなす時間がない」「時間的余裕を感じたことはほぼない」と回答している。
- また、アメリカ人の約3分の2の人は、いつもあるいはときどき気分が落ち着かないと感じると答えている。(R)
などと、少なくとも半分くらいの人は「自分の時間が足りてない!」と感じています。
先ほどのグラフでも確認できたように、自分の時間が足りなくなればなるほど僕らの幸せの度合いが下がっていきます。
具体的には
- 1日の可処分時間が「2時間を切る」と、幸福度や人生の満足度が下がる
これはなんとなく実感としてイメージしやすいかと思います。
また、自分が自由に使える時間が減ると、
- 気分の落ち込み
- ストレスの増加
- 精神的な疲労
などの悪影響が出ることもいろんな分野の研究で明らかになっています。
たしかに仕事や子育てなどに追われて自分の時間が全然ないなら、落ち込んだりストレスを感じるのは当然でしょう。
では、「自由な時間が好きなだけあったらいいのか?」というと、そうではありません。
一方でたっぷり時間が確保できたとしても、僕らの人生の満足度は下がってしまうのです。
時間がありすぎても不幸になる理由
冒頭のデータをもう1度みてみましょう。
データを見ると、1日の自由時間が5時間を超えると幸せ度が低下しています。
なんと、自由に使える時間が豊富にあっても僕らの人生の満足度は下がっていくのです!
つまり、
- 1日の可処分時間が「5時間を超える」と、幸福度や人生の満足度が下がる
といえます。
これは意外な結果ですよね。
その理由についてキャシー・ホームズらは、次のように結論を出しています。
- 自由時間がありすぎると人生に満足できない理由は、生産性を実感できないためである。
- 多くの人はただぼんやりと過ごすことに嫌悪感を抱き、生産性を高めたいと思っている。(R)
つまり僕らは、何もしないでのんびり過ごすよりも、生産性を実感するために何か活動していたい気持ちの方が強いのですね。
また、生産性について、
- 生産性を実感するためには、目標をもつことが重要である。
- ある程度の忙しさは、日常生活に目的意識を与えてくれるため価値がある。(R)
と述べています。
よく、FIREできるほどお金があるのに働いている人や、起業が大成功したのにまた1から起業を始める人がいます。
なぜかずっと家で1日のんびりしたり、遊んで過ごしたりしません。
これは、自分の時間がたくさんありすぎてもつまらなかったからなんですね。
理想の可処分時間は「2時間から5時間」
以上の研究から、最適な時間の使い方は、
- 仕事をしながら1日2時間から5時間の可処分時間をもつ
と結論できます。
毎日仕事で忙しい人であっても、最低2時間の自由時間は確保するのがベストです。
2時間の時間を確保する方法はいろいろありますが、「必ずこの時間は○分使う!」と決めるのもアリです。
例えば、仕事をしながら子育てをしている人を例にすると、
【2時間の自由時間を確保する例】
- 子供と朝の添い寝(15分)
- 職場から家まで歩く間に友達と電話で話す(25分)
- パートナーと一緒に夕食をゆっくり味わう(60分)
- 子供に子守唄を歌う(20分)
計2時間(120分)
などがそうです。
上記のように、自分が1日のやりたいことは予め決めておき、合計が2時間以上になるように設定します。
もちろん、人生を変えるほどの大きな変化は起こさなくても問題ありません。
自分の手の届く範囲で目標を決めてOKです。
「最近、仕事ばかり優先して自分のやりたいことできてないな…」
と思う方は、1日の中であなたの好きな時間をスケジュールしてみてはどうでしょうか。
1日のベストな可処分時間:まとめ
最もベストな1日の可処分時間についてのまとめです。
【1日のベストな可処分時間まとめ】
- 可処分時間とは、「自分で自由に使うことができる時間」のこと。
- 1日の活動と人生の満足度のグラフは、両端が不幸せに向かって下がっていく(時間があればあるほど幸福度が上昇するわけではない)。
- 1日の可処分時間が「2時間を切る」と、幸福度や人生の満足度が下がる。
- 1日の可処分時間が「5時間を超える」と、幸福度や人生の満足度が下がる。
- 最適な時間の使い方は、「仕事をしながら1日2時間から5時間の可処分時間をもつ」こと。※予め2時間の自由時間を何に使うか決めておくのもオススメ。
時間がなさすぎるのはもちろんストレスですが、一方でありすぎるのも問題なのは、なんとも人間って複雑な生き物だなぁって感じですね。
でもたしかに言われてみれば、休日に何もしないでただぼーっと過ごした日は、あまり幸せを感じなかった気もします。
自分の人生を充実させるためには、特になにも予定がない日でも、自分なりの目標をつくって集中して活動する時間をつくるといいですね。
時間の使い方については、キャシー・ホームズの『「人生が充実する」時間の使い方』がお勧めです。
近年時間術で話題になっている本で、多くの人に読まれています。
時間術的な本はたくさんありますが、この1冊の内容を実践するだけでもあなたの時間の使い方は格段にうまくなります。
特にいつも時間に追われがちな人がやってみると非常に効果があります。
興味のある方はぜひ読んでみてください。
【時間に関するよくある質問】
いつも家事にかける時間が多すぎて、自由な時間なんてないんだよね。
毎日家族の分の皿洗いとか洗濯とか、部屋の掃除がとても大変でさ…。
家事の仕事を機械に代替すれば自由な時間はできますよ。
例えば、食器洗いを食洗器に、床掃除をルンバに、洗濯干しを洗濯乾燥機に変えるだけで1日2時間は余裕でつくれます。
長期的に見ればコスパ高いので、毎日あなたの時間を生みだす家電は買っておいて損はないですね。
【参考文献・データ等】
- キャシー・ホームズ『「人生が充実する」時間の使い方』
- U.S. BUREAU OF LABOR STATISTICS “American Time Use Survey”
- John P. Robinson(2012)Americans Less Rushed But No Happier: 1965–2010 Trends in Subjective Time and Happiness. Social Indicators Research 113(3) DOI:10.1007/s11205-012-0133-6
- Anat Keinan, Ran Kivetz(2010)Productivity Orientation and the Consumption of Collectable Experiences. Journal of Consumer Research, Volume 37, Issue 6, 1 April 2011, Pages 935–950, https://doi.org/10.1086/657163
- Mihaly Csikszentmihalyi(2000)The Costs and Benefits of Consuming. Journal of Consumer Research 27(2):267-72 DOI:10.1086/314324
【記事執筆】あすか
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