【幸せを決めるPERMA理論】ウェルビーイングの高め方③~人間関係編~

【幸せを決めるPERMA理論】ウェルビーイングの高め方③~人間関係編~

 幸福論シリーズの続き(診断編ポジティブ感情編エンゲージメント編)です。

 今回は幸せを決める3つ目の要素「人間関係(R)」の高め方にうつります。

【図解】PERMA理論:ウェルビーイングを高める5つの要素(人間関係)
筆者作成【図解】PERMA理論:ウェルビーイングを高める5つの要素「人間関係」

 ポジティブ心理学者で有名なマーティン・セリグマン博士は、私たちが幸せになるには5つの要素を満たすことが大事だと述べてます。

 5つの要素とは、ポジティブな感情(P)、エンゲージメント(E)、人間関係(R)、人生の意味や意義(M)、達成(A)です。

 この5つをコンプリートすれば幸せな状態(ウェルビーイング)になれるので、仕事の生産性が上がったり自分が立てた目標も叶えやすくたりで色々メリットがでてきます

 前回は幸せを決める5つの要素のうちの2つ目「エンゲージメント(E)」の高め方について紹介しました。

 人は集中している時間が多い方がネガティブなことを考えなくなったり、自分の強みをダイレクトに活かせば幸福度が高まるという話でしたね。

 ちなみに幸福度は18の質問に答えれば数値化できるので、まだ受けていない方は診断してみるといいかもしれません。

 >>【ポジティブ心理学】18の質問で分かる幸福度診断

 5つの要素(PERMA)がそれぞれどれくらい高いのか数字でわかるのでお勧めです。

 ではPERMAの3つ目の要素「人間関係(R)」について見ていきましょう。

人間関係(R)

引用元:O-DAN

 人間関係には家族や友人、上司とか同僚や後輩とか知人とかいろんな関係のことを指しています。

 僕らが幸せだと感じている瞬間は、孤独な時というのはあまりありません

 「過去に自分はどんなときが幸せだったかな?」と思い返してみると、多くの人は誰かと一緒にいる場面を想像しているはずです。

 つまり自分たちが幸せだと感じるためには、良い人間関係が不可欠だということです。

 このようなポジティブな人間関係を築くことができれば、周りからサポートされやすくなるので仕事で行き詰った時でも助けてもらいやすくなります

84年の研究で証明「幸せは人間関係で決まる」

引用元:O-DAN

 幸せは良い人間関係で決まることを証明した研究を1つ紹介します。

 ハーバード大学がなんと1938年から84年という非常に長い時間をかけて行った研究です!

 1938年に始まった研究で、約2,000人以上を対象に仕事や家庭生活、健康などを記録し続けました。

 彼らの人生から得た何万ページにもなる情報から分かったことは「人の幸せは良い人間関係で決まる」ということです。

 これはたくさんの人間関係をもっていた方が幸せというわけではなく、あくまで質が大事だというのが前提なのがポイントです。

人間関係(R)の高め方

引用元:O-DAN

 人の幸せは人間関係で決まると聞いて「でもお金をたくさんもっていた方が幸せなんじゃない?」と疑問に思った方もいるかもしれません。

 ノーベル経済学賞受賞者で行動経済学者のダニエル・カーネマンらの研究によると、私たちは年収約800万円を超えると、それ以降の幸福度はほぼ変わらないと述べてます。

 つまり年収1億円稼いでいる人と年収800万円の人の幸福度は実は同じということです。

 そう考えると僕らが考えるべきは、実は「お金をどう稼ぐか」よりも「良い人間関係をどう築いていくか」の方が大切だったりします。

 ハーバード大学の84年にわたる研究からもわかるように、良い人間関係を作ることが僕らのウェルビーイング(幸福度)を高めるポイントになるということですね。

 では具体的に良い人間関係はどう高めたらいいでしょうか。

 具体的な方法を3つ紹介します。

方法①他人に与える

引用元:O-DAN

 良い人間関係をつくる1つ目の方法は「他人に与える」です。

 ここでいう与えるとは、時間や労力、お金、手助けなどいろんなものを含んでいます。

 他人に対して何かを与える行為をすると、「ヘルパーズハイ」と呼ばれる感覚が生まれ、自分の不安な気持ちが減ったり、いま抱えている問題について冷静に対処できるようになります。

 例えば、あなたが目の前の仕事に追われていて、とても焦っていたり不安な気持ちになっていたとします。

 そのとき、あえて少しだけ誰かの仕事をサポートしてみる。

 すると脳が「自分がいま他人を助けたということは、自分には余裕があるんだ!」と錯覚して、不安な気持ちが薄れて落ち着いて対応できるようになります。

 また、誰かに何かを与える行為は幸福感を高める効果や、自分のモチベーションやパフォーマンスを高める効果もあります。

 自分の幸福感も上がり、助けられた相手からは感謝されて人間関係も良くなるので一石二鳥です。

 自分に余裕がない時ほどヘルパーズハイは効果を発揮するので、ぜひ試してみてください。

方法②アダムグラントの5分ルールを使う

引用元:O-DAN

 良い人間関係をつくる2つ目の方法は「アダムグラントの5分ルールを使う」です。

 アダムグラントは、【人間関係の法則】人生の成功に欠かせないギバーのなり方で紹介した方ですね。

 簡単にまとめると、人間には他人に多くを与えるギバーと多くを奪うテイカーと損得のバランスを考えるマッチャーの3タイプがいます。

 この時、自己犠牲しなければトップの成功ギバーになるというものです。

 自己犠牲せずだれかを助けるためには、必要以上に自分の時間を使わないことが大切です。

 この「人を助けるかどうか」を判断するときに役に立つのが「アダムグラントの5分ルール」です。

 これは、5分以内に解決可能なものは助け、5分以上かかるものは助けないというものです。

 5分という制限をつけて相手を助けるとなると、基本的に自分の得意なことでしか解決できません

 例えば、上司から「この部分をパワポで作れる?」と図の作成をお願いされたときに、もともと作るのが得意な人なら5分以内で作れる。

 得意なことで助ければ相手からも感謝されやすい。

 逆にパワポ作業がめっちゃ苦手なのに無理して相手を助けると、いつまでも図の作成に苦労して、どんどん自分の時間が奪われていきます。

 最悪の場合「下手くそぉ!」と一生懸命つくったのに怒らたりしてメンタルが傷つく。

 なので相手を助けるなら自分の強みや得意なことを活かすのがベストです。

 5分ルールを使えば、エンゲージメントが高まり、感謝されて人間関係もよくなるのでお勧めです。

方法③自己開示をする

引用元:O-DAN

 良い人間関係をつくる3つ目の方法は「自己開示をする」です。

 人はプライベートなことを話した相手を信頼します

 なので相手にプライベートなことを話せば話すほど,自分を信頼してもらえます。

 するとだんだんと人間関係が良くなっていきます。

 これは直接会って話すだけではなく、LINEとか文面も効果があります。

 自己開示については、社会心理学者のゲイリー・ウッドが「効率良く自己開示を行う方法」を研究でまとめてくれています

 いくつかあるのですが、比較的実践しやすいものを3つ紹介したいと思います。

1.自分が改善したいことを話す

 効率良く自己開示する方法1つ目は「自分が改善したいことを話す」です。

 仕事で改善したいことや生活習慣で改善したいことなどは深い話になりやすい話題です。

 できれば自分の弱みを見せるとより信頼してもらえます

 たとえば「自分ってけっこう口下手だから、最近思い切ってコミュニケーション講座に入って話し方の勉強してるんだよね」などと話してみる。

 自分が改善したい内容を話したあと「ちなみに○○さんはどうですか?」と聞いてみる。

 するとお互い深い話題を開示しあうので、親密度を高めることができます

2.自分の夢や目標を話す

 効率良く自己開示する方法2つ目は「自分の夢や目標を話す」です。

 特に年齢が若い人ほど大事にしたほうがいい話題ですね。

 人はいつまでも過去の武勇伝を自慢されるよりも、未来に可能性を感じさせる人に魅力的に見える

 また、自分の夢を周りに話していると自然とサポートされやすくなります

3.失敗談を話す

 効率良く自己開示する方法3つ目は「失敗談を話す」です。

 これは後輩とか同世代とか,年下の人に話すといいですね。

 自分の失敗談を話すと、人の痛みがわかるひとなんだなと優しい印象を与えます。

 まだ先輩や上司に話してなかったけど、仕事の悩みを抱えていた後輩から自己開示されやすくなります。

 お互いに自己開示しあえば信頼度も高まるので、自分が持っている失敗談は積極的に話すといいでしょう。

まとめ:人間関係はお金よりも重要な要素

引用元:O-DAN

 人間関係(R)の高め方のまとめです。

【人間関係を高める方法】

  • 方法①他人に与える
  • 方法②アダムグラントの5分ルールを使う
  • 方法③自己開示をする(自分の改善点、夢や目標を、失敗談などを話す)

 人間関係は、お金をいくら稼いだかよりも幸福度を決める重要な要素です。

 良い人間関係をつくれたら僕らの健康寿命も延びるのでこちらの要素も伸ばしておくと最強ですね。

 自分が人生のどん底にいたときや仕事で行き詰っているときに助けてもらえたりします

 今回紹介した人間関係(R)を高める方法については、取り組みやすいところから実践してみるといいでしょう。

 次回はPERMAのMにあたる「人生の意味」の高め方に移ります。

 自分なりの人生の意味を見出すことができれば、ウェルビーイング(幸福度)を高められます

 次回もそれぞれの要素の高め方についていくつか紹介するので、ぜひこちらも実践してみてください。

【参考文献・データ等】

マーティン・セリグマン『ポジティブ心理学の挑戦 “幸福”から“持続的幸福”へ

ロバート・ウォールディンガー, マーク・シュルツ『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない

エリザベス・ダン, マイケル・ノートン 『「幸せをお金で買う」5つの授業

キャロライン・アダムス・ミラー『実践版GRIT やり抜く力を手に入れる

【記事執筆】あすか

【Twitter】:https://twitter.com/askalabo