最強の認知行動療法ACTのやり方⑤~接続編(コネクト)~

メンタル改善

※記事内に広告が含まれています。

最強の認知行動療法ACTのやり方⑤~接続編(コネクト)~

 ACTシリーズの続き(イントロ編脱フィージョン編観察する自己編拡張編です。

 ACTシリーズでは、主にラスハリスの著書や論文をもとに、ネガティブな感情を受け入れて価値のある行動をするための方法について解説しています。

 前回は、ネガティブな感情や思考を置いていく場所を決める「拡張」について解説しました。

 次は、いまこの瞬間につながる「接続編(コネクト)」にうつります。

 人はネガティブな感情と自分を切り離す脱フィージョン、その感情に居場所をつくる拡張までできたら、やっと目の前のことに完全に集中することができます

 目の前のことに没頭できれば、余計なことに意識を引っ張られずに済みます

 では、具体的にどうやったらいま目の前のことに没頭できるのでしょうか?

 ACTでは接続(コネクト)すること、つまり現在と繋がることが重要だとしています。

 今とつながることができれば、僕らは完全に没頭することができます。

 そこで今回は、現在とつながるための「接続(コネクト)」とその具体的な実践方法について解説します。

 接続(コネクト)とは、

  • あなたのいまこの体験にフルに集中すること

 をいいます。

 この瞬間に起こっていることと完全につながることをACTでは接続(コネクト)と呼んでいます。

 スポーツでいう「ゾーン」に入っている状態みたいな感じです。

 あたりまえですが、私たちは未来や過去を変えることはできません。

 変えられるのは「いま」だけです。

 だから過去にとらわれたりとか、未来にとらわれたりとかに意識がもっていかれてしまうと、十分に集中力を発揮することはできません。

 でもいまこの瞬間にコネクトすれば、やる気を出したり、パフォーマンスを高めることができます。

 たしかに一般的な感覚としても

  • あのときああしとけば良かったな…
  • そういえば来週が締め切りだけど間に合うかな…
  • どうして自分はいつもダメなんだろう…

 と色々考えている人よりも、目の前の作業に完全に没頭している人のほうが、作業が早く終わると思いますよね。

 いまこの瞬間につながることができなかったら、感情や思考に引っ張られて行動力が落ちてしまいます。

 そこで「接続編」では、具体的に目の前のことに没頭するための方法について8つ紹介します。

 いまこの瞬間に接続して、集中するための方法は次の8つです。

【いまこの瞬間に接続する8つの方法】

  • 方法①4つの接続エクササイズをする
  • 方法②5つのことに気づく
  • 方法③快感とつながる
  • 方法④不快だけど価値のある行動とつながる
  • 方法⑤日常の雑用とつながる
  • 方法⑥避け続けてきた作業とつながる
  • 方法⑦10分間つながるための呼吸をする
  • 方法⑧五感のカウントダウンをする

 接続(コネクト)ができるようになると、過去の後悔にとらわれたり、未来を心配したりして自分がどこかにいっても現在に取り戻すことができます。

 スマホを開いてSNSをチェックしたくなる衝動にかられても、いまやるべきことに注意を戻すこともできるようになります。

 いまこの瞬間に接続(コネクト)するための1つ目の方法は「4つの接続エクササイズをする」です。

 4つの接続エクササイズでは、あなたがいくつかの経験につながるということをします。

 具体的には次の4つです。

【4つの接続エクササイズ】

  • 1環境につながる
  • 2体への気づき
  • 3呼吸への気づき
  • 4音に関する気づき

 それぞれたった30秒しかかかりません。

 全部やったとしても2分しかかからないので、すぐに実践できると思います。

 では順に解説しています。

1環境につながる

 「環境につながる」では、自分をとりかこむ環境に注意をむけます。

 何か1つを選んで、それについて5つのことに注意をむけます

 選ぶものは、

  • 見えるもの
  • 聞こえるもの
  • 触れるもの

 などなんでも構いません。

 例えば、いま手元にあるスマホに意識を向けたら、5つの注意をむけます。

 これを30秒やります。

【1つのことに5つの注意を向ける例】

  • 画面は縦長に伸びているな
  • 厚みは1cmくらいかな
  • 本体の色は真っ白に近いかな
  • 軽さは小石くらいだろうか
  • 右上に少しだけ汚れがついているな

2体への気づき

 体への気づきは、拡張編(アクセプタンス)で紹介したボディスキャンと一緒です。

 ネガティブな感覚が自分の体のどの部位からきているのかスキャンします。

 具体的には、次の体の部位に30秒かけて注意をむけます。

【注意を向ける体の部位】

  • 頭の中
  • 背骨の位置
  • つま先

3呼吸への気づき

 呼吸への気づきでは、普段意識しない呼吸について細かくみていきます。

【呼吸への気づき】

  • 胸郭が上がったり下がったりする感覚
  • 鼻から空気が行き来する感覚
  • 肺が大きくなっていく感覚
  • おなかが外に大きくなっていく感覚

 これを30秒かけてやっていきます。

4音に関する気づき

 音に関する気づきでは、いま聞こえてくる音に集中します。

 窓の外から聞こえる音、車の音、部屋から聞こえる音、換気扇の音などに注目します。

 これを30秒行います。

【音に注意を向けた場合(例)】

  • キーボードを叩く音
  • 職員の人の話し声
  • 紙をめくる音
  • プリンターの稼働音
  • 電話の呼び出し音

 これら1~4のエクササイズをやってみると、普段は聞こえているはずのものに自分がまったく注意を向けていなかったことに気づくはずです。

 普段みていないものに注意を向けると、必ずなにか新しい発見があります。

 これがいまこの現在に集中し、自分のまわりで起きているものに繋がる接続(コネクト)です。

 いまこの瞬間に接続(コネクト)するための2つ目の方法は「5つのことに気づく」です。

 なんでもいいので、まわりのものを5つ選んで、1つずつ注意を向けるというものです。

【注意を向けるもの】

  • 周りにある物5つ
  • 聞こえる音5つ
  • 体の表面で感じる感覚5つ

 先ほどの4つの接続エクササイズの違いは、慣れたらどこでもできる点です。

 例えば、

  • 朝歯を磨いているとき
  • お風呂に入っている時
  • 通勤しているとき

 など、いろんな場面で使えます。

 例えば、歩いて通勤しているときなら、

  • 雲の動き
  • 車の音
  • 鳥の鳴き声
  • 風が頬に当たる感覚
  • 太陽の光の強さ
  • 海の匂い
  • 子どものはしゃぐ声

 などに気づきます。

 五感すべてを使って、自分のまわりで感じるもの、見えるものなどに注意を向けます。

 もし、頭の中に思考や感情がわいてきたら、また雲の動きなどに注意を戻します。

 このエクササイズは、何かに注意を向けるための練習です。

 意識的に注意を向けれるようになると、集中力が発動しやすくなるので、自分が取り組みたい作業に没頭できます。

 いまこの瞬間に接続(コネクト)するための3つ目の方法は「快感とつながる」です。

 快感だと思う行動について、何か1つに対して5つの気づきを見つけてコネクトします。

 たとえば、

  • 好きな音楽を聴く
  • 家族と一緒に過ごす
  • ランニングをする
  • 読書をする
  • 好きなアニメを観る

 などです。

 快感と繋がるときは、それを初めて体験するようなイメージですると効果的です。

 ランニングであれば、

  • 胸が少しドキドキする感じ
  • 体全体に感じる風
  • シューズが地面を踏む時の足音
  • 木々の揺れ

 などに注意をむけます。

 いまこの瞬間に接続(コネクト)するための4つ目の方法は「不快だけど価値のある行動とつながる」です。

 快感とつながることに慣れたら、次は不快だけど価値のある行動に注目できるようにします。

 できれば1日に3回以上すると効果的です。

 たとえば、あなたが何か資格を取得のために毎日1時間勉強しているとします。

 やる気のある時なら2時間近くするときもあると思いますが、「なんだか今日は気乗りしないな」と思う日もあると思います。

 その時、「勉強したくないな」という不快感に注目すると勉強をサボったりします。

 そこで大事なのは、不快感の先にあるものを考えるということです。

 例えば、

  • なぜ自分は資格を取得したいのか?
  • 理由は、その資格を取得することで自分の収入が上がって、いざとなったら家族を守ることができるからだ。

 自分は資格を取得するためではなく、取得したことで大事な家族を守れるから勉強する、と考えます。

 勉強といった不快な作業でも、いまこの瞬間に注目すれば不快さを乗り越えれます。

 先ほど方法②でやった5つの気づき(ペンの音、紙の肌触り、インクが流れでる感じなど)でコネクトすれば、いま目の前の作業に没頭できます。

 基本的に何かを手に入れるためには不快感は避けてはとおれません。

 これができるようになると自分が手に入れたいものを得られる確率が上がるので、ぜひ不快だけど価値のある行動と接続してみてください。

 いまこの瞬間に接続(コネクト)するための5つ目の方法は「日常の雑用とつながる」です。

 気が進まないけど、やらないといけない雑用に繋がります。

 接続の方法はこれまでと同じです。

 1つの面倒な作業に対して、5つの気づきを見つけます。

 たとえば、節約のために仕方なく毎日自炊している人なら、

  • いま油が「パン」って跳ねた音がしたな
  • 肉がジュワジュワと音を立て始めたな
  • フライパンの熱がこっちにも伝わってきたな
  • 色がだんだん濃く変化してきたな
  • 焼いた匂いが少しずつ出てきたな

 などと5つの気づきを見つけます。

 もし「あぁやっぱりめんどくさいな」などと思考がわいてきたら、脱フィージョンしてまた注意を目の前の作業に向けます。

 気づきに意識をもっていくと、たとえ面倒な作業であっても没頭して作業できます。

 いまこの瞬間に接続(コネクト)するための6つ目の方法は「避け続けてきた作業とつながる」です。

 これは最初にやるときついと思うので、難しければ他のエクササイズから初めてもOKです。

 ここでは、自分が先延ばしにしていた作業を選んで、20分間それに集中します。

 先延ばししていた作業をはじめると、いつもやっている作業よりネガティブな思考や感情がわいてくると思います。

 そのたびに脱フィージョンして、拡張で居場所をつくったあと、目の前のことにまた注意を向けて接続を繰り返します。

 接続(コネクト)は、筋トレのように繰り返しやるほど鍛えられてだんだんできるようになっていきます。

 最初20分だったのも、慣れてきたら30分、1時間と続けることができます。

 不快感を乗り越えた先に結果がまっているので、これができるようになれば最強です。

 いまこの瞬間に接続(コネクト)するための7つ目の方法は「10分間つながるための呼吸をする」です。

 つながるための呼吸は、接続(コネクト)を最高クラスまで極めたいときにすると非常に効果が出るテクニックです。

 人気アニメ『鬼滅の刃』でも自分の能力を高めるために呼吸に意識を向けますが、ACTでも呼吸は接続(コネクト)するうえで大事な要素になります。

 つながるための呼吸のやり方は、次の3ステップです。

【つながるための呼吸のやり方】

  • ステップ1:呼吸とつながる(最初の6分間)
  • ステップ2:呼吸、体、感情とつながる(次の3分間)
  • ステップ3:目を開けて、自分を取り囲む環境、呼吸、体、感情につながる(最後の1分)

 順にみていきましょう。

ステップ1:呼吸とつながる(最初の6分間)

 最初の6分間は、呼吸だけに意識を向けます。

  • 胸郭が上がったり下がったりする感覚
  • 鼻や肺に空気が行き来する感覚

 呼吸を感じているときに、余計な思考がわいてきたら、いつものように「脱フィージョン」して意識を呼吸に戻します。

ステップ2:呼吸、体、感情とつながる(次の3分間)

 次の3分間は、呼吸、体、感情とつながります。

 といっても、複数同時につながるわけではありません。

  • 呼吸の次は体
  • 体が終わったら感情

 と、一つひとつ注意を向けます

 ここまでできたら、最後はさらに注意する対象を広げていきます。

ステップ3:目を開けて、自分を取り囲む環境、呼吸、体、感情につながる(最後の1分)

 最後の1分間は、呼吸、体、感情にくわえて自分を取り囲む環境にも意識を向けます。

 まわりから聞こえる音、見えている物などに1つひとつ注意の対象を変えていきます。

 ここまでやってみて気づいた方はいるかもしれませんが、このテクニックでは注意の対象を意識的に変えています。

 「スマホいじりたいな」という余計なことに意識がもっていかれそうになっても、注意を戻すことができるようになるためです。

 このテクニックは、最初の1週間は1日10分から始めます。

 これを1週間に2、3分ずつ時間を延ばしていって、最後には20分まで延長できるようになれると最強ですね。

 最後、いまこの瞬間に接続(コネクト)するための8つ目の方法は「五感のカウントダウンをする」です。

 このエクササイズは、イライラしたり、不安な感情にのみこまれそうな状況で特に効果を発揮します。

 視覚→触覚→聴覚→嗅覚→味覚の順で、それぞれ5→4→3→2→1とカウントダウンのように数をあてはめるものです。

 具体的には次のようなステップで行います。

【五感のカウントダウンをする】

  • 1視覚(目に入った5つをこえに出す)
  • 2触覚(身の回りの4つの物をさわる)
  • 3聴覚(耳にはいる3つの音をえらぶ)
  • 4嗅覚(鼻にはいる2つの匂いをかぐ)
  • 5味覚(飲みものを1つ選んで味わう)

 順にみていきましょう。

ステップ1:視覚

 ネガティブな感情や思考がでてきたら、深呼吸を1回します。

 その後、自分の周囲をみまわしてみて、目に入った「5つ」の物を声に出していいます。

 時計、パソコン、ネコのオブジェ、コップ、本など、なんでもいいので、目についたものを5つ選んで声に出してみます。

 周りに人がいる場合は、小さな声でもOKです。

ステップ2:触覚

 もう1度深呼吸をして、次は身のまわりにあるものを「4つ」選んで物をさわってみます。

 こちらも何でもいいので、机、水とう、青ペン、マウスなど目についたものに触れてみます。

  • 机はザラザラしているな
  • マウスの側面はつるつるしているな

 などと、その物から伝わる感触をしっかり意識するのがポイントです。

ステップ3:聴覚

 再び深呼吸を1回して、今度は耳に入ってくる音を「3つ」選んできいてみます。

 外から聞こえる工事の音、紙をひらく音、人が話す声など、ランダムに選んで耳を澄ましてきいてみます。

  • 規則的なリズムをきざんでいるな
  • 空気を切るような音がするな

 など、こちらも音の特徴を意識しながら感じるようにします。

ステップ4:嗅覚

 また同じように深呼吸を1回して、次は鼻から入ってくる匂いを「2つ」選んでかいでみます。

 本の匂い、部屋の匂い、服の匂いなど、目に入ったものを自由に選びます。

  • 年季の入った匂いがするな
  • せっけんの香りがするな

 など、同じようにその香りの特徴を意識しながら行います。

ステップ5:味覚

 再び深呼吸をしてから、最後は周囲にある食品や飲み物を「1つ」選んで味わってみます。

 チョコレートやコーヒーなどを1つ選択し、口にいれてじっくりと味わってみます。

 「甘味がふわっと広がったな」とか「苦みと酸味の両方を感じるな」など、こまかい感覚を意識的に感じるようにします。

 特に食べるものや飲むものがないときは、舌に当たる空気の感覚を味うでも構いません。

 ここまでやれば、あなたは完全にネガティブな感情や思考から切り離されて、現在とつながることができているはずです。

 五感を使うと人の意識は「現在」に向かうため、未来と過去のネガティブ思考から自由になることができます。

 ACTシリーズ第5弾「接続編(コネクト)」のまとめです。

【接続(コネクト)まとめ】

  • 接続(コネクト):いまこの体験にフルに集中すること

【接続(コネクト)する7つの方法】

  • 方法①4つの接続エクササイズをする(環境、体、呼吸、音)
  • 方法②5つのことに気づく(気づく対象はなんでもOK)
  • 方法③快感とつながる(ランニングなど)
  • 方法④不快だけど価値のある行動とつながる(理想は1日2、3回)
  • 方法⑤日常の雑用とつながる(料理、掃除、皿洗いなど)
  • 方法⑥避け続けてきた作業とつながる(他のエクササイズに慣れたらでOK)
  • 方法⑦10分間つながるための呼吸をする(慣れたら20分まで伸ばす)
  • 方法⑧五感のカウントダウンをする(視覚→触覚→聴覚→嗅覚→味覚の順でつながる)

 「いま」という瞬間には、未来の不安や過去の悩みが存在しないので、現在にいかに没頭できるかが重要になっていきます。

 今回紹介した方法には、「脱フィージョン」→「拡張」→「接続」の流れを繰り返す場面がでてきます。

 これを続けていくと、筋トレのようにだんだんと接続(コネクト)できるようになって、いまこの瞬間に没頭できるようになります。

 現在に接続(コネクト)できれば、僕らは未来と過去のネガティブ思考から自由になることができます。

 使いやすい方法でいいので、ぜひ紹介したテクニックを試してみて、没頭できる時間をふやしてみてください。

 没頭の段階まで行くことができたら、あとは価値のある行動を決めるだけです。

 そこで次回ACTシリーズ最終章では、「価値ある行動編」にうつります。

 目標は達成すればおわってしまいますが、自分の価値観に従って行動していけば人は継続することができます。

 自分なりの価値のある行動を続ければ、パフォーマンスの向上や幸福度も高まることがいくつかの研究でわかっています。

 ACTについてもっと知りたい方は、ラスハリスの幸福になりたいなら幸福になろうとはしてはいけないが非常に参考になります。

 ACTシリーズの記事だけでも十分対応できるので、ACTについて更に深めたい人はみてみることをお勧めします。

 >>【最終回】最強の認知行動療法ACTのやり方⑥~価値ある行動編~

 <<【前回】最強の認知行動療法ACTのやり方④~拡張編(アクセプタンス)~

【記事執筆】あすか

【X(旧Twitter)】:https://twitter.com/askalabo

【Instagram】:instagram.com/aska.labo