コミュ力を上げる方法③感情の安定編ー不快プランニングなど紹介ー
コミュ力シリーズでは、
- 人前だと不安になる…
- 誰かと話すときに緊張する…
などを解決するための方法を紹介してます。
今回は、魅力を上げる2つ目の要素「感情の安定編」
自分が嫌だけど克服したい場面に使える「不快プランニング」などについて解説します。
正直に話すのが大事!
といっても、機嫌の悪さを顔に出しながらしゃべるのは良くありません。
なぜなら相手はあなたに余裕のなさを感じて、人としての魅力が下がるから。
そのため、私たちは感情の安定レベルを高めておく必要があります。
コミュ力の上げ方については、鈴木裕の『最強のコミュ力のつくりかた』がオススメです。
科学的根拠をもとにまとめたものなので、コミュニケーションの改善に期待できます。
もっと詳しく知りたい方は読んでみてください。
では、2つ目の魅力を高める要素「感情の安定」について一緒に見ていきましょう。
コミュ力を上げる第2の要素「感情の安定」とは?
コミュ力を上げる2つ目の要素は、「感情の安定」です。
感情が安定していない人は、
- 緊張しがち
- 空気を読まない
- 幼稚
などと周りから思われやすい傾向にあります。(R)
感情が不安定な人は、コミュニケーションがうまくいかないので、人間関係でトラブルが起きやすくなります。
また、感情が安定していない人は、
- 小さなことでイライラする
- 機嫌の悪さが顔に出る
- 注目されると何をいっていいかわからなくなる
- ちょっとした批判を受け流せない
- 過去の話を何度も蒸し返す
などの特徴があるため、自分の感情をおさえる方法を知って対策しておく必要があります。
コミュ力のベース「感情の安定」に効くワーク
では、どうすれば感情に振り回されず、落ち着いて話せるようになるのでしょうか?
具体的な方法は次の3つです。
【感情の安定に効くワーク】
- 感情の安定に効くワーク①不快プランニング
- 感情の安定に効くワーク②不安を興奮に変える
- 感情の安定に効くワーク③ACTを使う
効果は一時的だけど一番簡単にできるのが「不安を興奮に変える」
身につけるまでに時間はかかるけど一生使えるのが「ACTを使う」になります。
その中間にあたるのが「不快プランニング」です。
まずは、比較的効果が高く、やりやすい「不快プランニング」から見ていきましょう。
「感情の安定」に効くワーク①不快プランニング
感情の安定に効く1つ目のワークは「不快プランニング」です。
不快プランニングとは、
- 自分が嫌だけど克服したいことを段階的に慣れていくエクササイズ
をいい、多くの人のコミュニケーション改善に役立つ方法です。
たとえばランニングならいきなり目標の10キロを走るのではなく、最初は1キロからスタートして、慣れてきたら
- 2キロ
- 3キロ
- 5キロ
と増やしていき、最終的に10キロを走るような感じです。
コミュニケーションも同じ。
「大勢の前で落ち着いて話せるようになろう!」
と思ってもうまくいきません。
- まずは鏡の前で話す練習をする
- →その次は友達の前で練習する
- →最後に多くの聴衆の前で話す
みたいに、階段登るような感じで慣れていくのが大事です。
不快プランニングのステップは次の3つです。
【不快プランニング3ステップ】
- 不快プランニングステップ1:自分が一番苦手な場面を1つ選ぶ
- 不快プランニングステップ2:レベル別の行動を決める
- 不快プランニングステップ3:実行する
順に見ていきましょう。
不快プランニングステップ1:自分が一番苦手な場面を1つ選ぶ
不快プランニング1つ目のステップは「自分が一番苦手な場面を1つ選ぶ」です。
自分がもっとも苦手な状況だけど、克服したいと考えているものを1つ挙げます。
あくまで自分が一番苦手としているものなので、あなたの主観で全然構いません。
- 人前でのスピーチ
- 異性と話す
- パーティーでの会話
- サークルでの自己紹介
- 職場の人との雑談
など、最終的に自分ができるようになりたい場面を想像して、その中から1つ選びます。
不快プランニングステップ2:レベル別の行動を決める
不快プランニング2つ目のステップは「レベル別の行動を決める」です。
さきほどステップ1で決めたあなたがもっとも苦手な状況を、MAXレベル7とします。
そのとき、次に示すレベル1~6の状況に対してどんな行動をしたほうがいいか決めます。
【不快プランニングレベル別状況まとめ】
- 不快プランニングレベル7 最悪の不安・緊張・不快さ
- 不快プランニングレベル6 あと一歩で耐えられなくなる不快さ
- 不快プランニングレベル5 日常生活に支障をきたすほど強い不快さ
- 不快プランニングレベル4 少し対処に厳しさを感じる
- 不快プランニングレベル3 多少の不快さはあるが対処できる
- 不快プランニングレベル2 完全に落ち着いている
- 不快プランニングレベル1 不快感がまったくない
といっても、いきなり考えるのは難しいと思うので、参考までに例を2つ挙げます。
あくまで例なので、たとえばレベル2の内容があなたにとってレベル5くらいと感じるなら、レベル5に設定しても構いません。
行動する内容が思いつかないときは頭の中でイメージする内容でも問題ありません。
レベル別の行動は自分の主観で決めてOKだよ!
不快プランニング例1:人前で話すのが怖い
- 不快プランニングレベル7 大勢の前でスピーチをする
- 不快プランニングレベル6 職場の飲み会で司会をする
- 不快プランニングレベル5 聴衆の前で話す自分をイメージする
- 不快プランニングレベル4 会議の場で発言する
- 不快プランニングレベル3 混んでいるレストランで1人で食事する
- 不快プランニングレベル2 友達が集まる食事会で乾杯のあいさつをする
- 不快プランニングレベル1 鏡の前で話す練習をする
不快プランニング例2:異性と話すと緊張する
- 不快プランニングレベル7 異性と2人で遊びに出かける
- 不快プランニングレベル6 異性を含むグループと遊びに出かける
- 不快プランニングレベル5 異性と軽く雑談する
- 不快プランニングレベル4 サークルなどで初対面の異性にあいさつする
- 不快プランニングレベル3 異性と話している自分を具体的にイメージする
- 不快プランニングレベル2 街中を散歩する
- 不快プランニングレベル1 異性の写真を見る
不快プランニングステップ3:実行する
最後、不快プランニング3つ目のステップは「実行する」です。
あとはステップ2で決めたレベル別の行動にそって、レベル1から実践していくだけです。
レベル1に慣れたらレベル2、レベル2に慣れたらレベル3と進んでいきます。
実行する際には、
- 具体的な時間と場所を決める
- 1回のアクションには最低5分かける
- 週に4~5回続ける
- 行動の最中はとにかく没頭する
などをするとさらに効果的です
たとえ時間がかかったとしても、無理にレベルを上げなくて大丈夫です。
自分のペースで少しずつ慣れていけばOKです。
だんだんあなたの感情は安定し、余裕をもって話せるようになります。
レベル別にアクションを設定するのは面倒ですが、一度作ってしまえばあとは実行するだけなので、ぜひ時間をつくって試してみてください。
「感情の安定」に効くワーク②不安を興奮に変える
感情の安定に効く2つ目のワークは「不安を興奮に変える」です。
不安を感じると、自分たちは
- 心臓がドキドキする
- 呼吸の数が増える
- 血圧と体温が上がる
- 筋肉が緊張する
などの変化があらわれます。
ですが不安を感じたときと興奮を感じた時に起こる身体の変化は、実はまったく変わらないとわかっています。
そのため、不安を興奮に変えれば、緊張をやわらげるのは可能です。
これを上手く利用しているのがドラゴンボールの孫悟空です。
通常自分よりも強敵と戦うときは不安で緊張するはずですが、孫悟空の場合は
- 「オラよりつえぇ奴と戦えるなんてワクワクすんぞぉ!」
と不安を興奮に変えてうまくエネルギーに転換しています。
これを日常会話で応用すると、誰かと会話をするときに不安を感じたら、次のようなフレーズを唱えると興奮に変えれます。
(例)不安を興奮に変えるフレーズ
- 「いったいどんな新鮮な会話になるのかと思うとワクワクする」
- 「自分はこの人と会話できて、めっちゃ興奮してる」
- 「この会話でどんな新しいことを学べるのかとても楽しみだ」
まわりに人がいるなど実際に声に出すのが難しければ、頭のなかで唱えてもかまいません。
また、これらのフレーズは、1対1のコミュニケーションのときだけではなく、大勢の前で話すときにも使えます。
実際ハーバード大学の研究では、
- 不安を興奮に変えた生徒のほうが聴衆からの印象が良く、説得力があったと判断され、スピーチの評価が12%上がった。
との結果が出ています。
唱えるだけでコミュ力上げれるなんてコスパいいね!
もしうまくフレーズが思いつかないときは、孫悟空だったらなんていうか?と考えるのアリです。
- 「大勢の前でスピーチなんてワクワクすっんぞぉ」
などと自然と興奮に変えるフレーズが出てくるはずです。
注意:濫用は避ける
不安を興奮に変えるワークで1つ注意したいのは、「濫用は避ける」といった点です。
というのも、この不安を興奮に変えるフレーズは、脳をだまして一時的に対処しているだけだからです。
不安や緊張の原因を根本的に解決してくれるものではありません。
ポケモンバトルでPPがもともと5しかない技みたいに、
- 人と話すことになって緊張した
- 大勢の前で発表する場面で不安になった
など、あなたが重要だと思う場面で大事に使うのがいいでしょう。
やや時間はかかりますが、本格的に不安や緊張の原因を根っこから取り除きたいなら、次に紹介する3つ目のワークを行うのをオススメします。
「感情の安定」に効くワーク③ACTを使う
最後、感情の安定に効く3つ目のワークは「ACTを使う」です。
ACTとは認知行動療法のひとつで、自分の感情を安定させる究極テクニックです。
落ち着いて話せるようにもなるので、相手にも余裕が伝わって安定した会話ができるようになり、結果コミュ力をあげれます。
ちなみに感情の安定は、恋愛でモテる要素の一つになります。
身につけるのはとても時間がかかりますが、一度ACTを体得できれば一生モノの最強スキルになります。
ACTのステップは大きく5つあり、次のような流れで行います。
具体的なやり方については、過去に紹介したACTシリーズでまとめています。
自分のネガティブな感情と思考を切り離す「脱フィージョン10の方法」だけ覚えておくだけでも十分効果はあります。
「とりあえずACTを最低限身につけておきたい!」という方は、簡単にできる脱フィージョンのスキルを試してみるのがオススメです。
まとめ:コミュ力を上げる方法―感情の安定編―
コミュ力を上げる方法―感情の安定編―のまとめです。
- 感情が不安定な人は、人間関係でトラブルが起きやすくなり、コミュニケーションがうまくいかない主な原因となっている。
- →周りからは「空気が読めない」「感情が幼い」といったネガティブな印象を持たれて魅力が下がるため、感情の安定スキルを高めておく必要がある。
【感情の安定に効くワーク】
感情の安定に効くワーク①不快プランニング
- 段階的に不快に慣れていく手法で、自分が一番苦手だけど克服したい状況に使えるテクニック
- 不快プランニングステップ1:自分が一番苦手な場面を1つ選ぶ
- 不快プランニングステップ2:レベル別の行動を決める
- 不快プランニングステップ3:実行する
感情の安定に効くワーク②不安を興奮に変える(最も簡単)
- 不安を感じた時に起こる身体の変化は、実は興奮を感じた時の変化とほぼ同じ
- →不安ではなく興奮として捉えることで、緊張をやわらげたり、不安をおさえる効果をもつ
※ただし効果は一時的で根本解決にはならないため、重要な場面で使うにとどめるなど濫用はさける
感情の安定に効くワーク③ACTを使う(最も効果的)
- 認知行動療法のひとつで、感情を安定させる方法として究極的なテクニック
- ACTはマスターまでに時間はかかるが、身につけると一生モノのスキルになる
今回紹介したワークは、どれか1つ試すだけでもコミュ力の改善に効果があります。
特にACTが使えるようになると最強です。
人との会話以外にも、自分をコントロールしたり、余計なことで悩まなくなるのでメンタルにも効く手法になります。
ここまでエクササイズを進めた人は、感情をおさえながら、自分を偽らずに伝える力がついたといえます。
最後は、コミュ力を高める3つ目の要素「好感度」を高めればOKです。
というのも、感情的にならずに正直に話せるようになったとしても、好感度を下げるような話し方をしてしまうと、相手はあなたの話に耳を傾けてくれなくなるからです。
正直すぎてもいけない、落ち着いてるだけでもいけない、っていうのはなかなか奥が深いところはありますね。
コミュ力の高め方については、鈴木裕の『最強のコミュ力のつくりかた』がお勧めです。
高評価レビューがたくさんある本で、「うまく相手に伝えられない…」といったコミュニケーションの悩みを解決しています。
ぜひ手に取って確認してみてください。
<<【前回】コミュ力を上げる方法②率直編―言いたいことがいえない自分を変える―
【参考文献・データ等】
- 鈴木裕『最強のコミュ力のつくりかた』
- ラスハリス『幸福になりたいなら幸福になろうとはしてはいけない: マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門』
- Anna Dorfman et al, (2019)Rejection sensitivity hurts your open mind: Effects of rejection sensitivity and power position for wise reasoning in workplace conflicts.
【記事執筆】あすか
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