【幸せを決めるPERMA理論】ウェルビーイングの高め方⑤~達成編~
幸福論シリーズの続き(診断編、ポジティブ感情編、エンゲージメント編、人間関係編、人生の意味編)です。
ここからいよいよ幸せを決めるPERMAのラスト「達成(A)」に入ります。

幸せな状態をウェルビーイングといいます。
PERMAの5つの要素を上げるとウェルビーイングをガンガン高めることができます。
幸福度を上げるなら、5つの要素のうちあなたが一番スコアが低かったところから始めると効果が高いです。
まだ幸福度診断を受けてない方は、18の質問で分かる幸福度診断で自分の幸福度をチェックできるので、よかったらご覧頂ければと思います。
ではこれからPERMA理論の最後、達成(A)について解説します。
達成(A)

達成というのは、競争社会に勝つとかナンバーワンになるとかそういうものではありません。
自分なりに立てた目標に対して、達成を目指していくことをいいます。
そのためSNSで「いいね」をたくさんもらうとか、年収1,000万円を達成するとか中身のない目標は、いくらそれが高かったとしても達成感を感じることはできません。
目標を決めるときは、自分のモチベーションが自然と高まるような設定にすることが大事になっていきます。
大事なのは「前に進んでいるという感覚」

達成感を感じるための重要なポイントは、「前に進んでいるという感覚」です。
少しずつでも、「自分は前進しているんだ!」という手応えを感じることができれば、高い目標があっても歩き続けることができます。
これは数千日間にわたる日記を分析したテレサ・アマビールらの研究(R)でも明らかになっており、
「日々のちょっとした進歩」
というのが、僕らの達成感を高めてくれることがわかっています。
よく成功している人や仕事で上手くいった人を見て、「この人は才能があるんだな」とか「一気に成果が伸びて達成したんだな」と私たちは思いがちです。
ですが、実際には地道にコツコツ努力を続けてきた人がほとんどです。
逆に言えば、最初から高い目標を目指すと途中で挫折してしまいます。
少しずつでもいいので結果を出し、小さな成功を積み重ねていくことが達成感や幸福感を高めるうえで大事になっていきます。
達成(A)の高め方

では、具体的に達成感を高めるためにはどのような方法があるのでしょうか。
先ほどの「前に進んでいるという感覚」をポイントに、達成感に関するいくつかの研究があるので、3つ紹介したいと思います。
ざっくりまとめると、達成感の高め方は次のような感じになります。
【達成感の高め方】
- 方法①小さな目標をたくさん作る
- 方法②早い時期に小さく始める
- 方法③進歩を目に見える形にする
順に解説していきます。
方法①小さな目標をたくさん作る

達成感を高める1つ目の方法は「小さな目標をたくさん作る」です。
実は大きな目標を達成するよりも、スモールゴールをたくさん作った方が効果的だということが研究でわかっています。
実際、バーゼル大学が4年間にわたって男女937人を対象にした目標に関する研究では、「人の幸福度は、達成できそうな目標を多く持っているほど高くなる」ことを明らかにしました。(R)
これは、小さなゴールをたくさん達成することによって、僕らに自己コントロール感を与えるためだとされています。
そのため、大きな目標を設定するだけではなく、その目標を達成するまでの小さなゴールを間にたくさん作った方が、日々達成感を感じるので幸せになりやすくなります。
例えば、
- 月の営業ノルマ20件以上達成する→今日1件電話でアポをとる
- 本を1冊完成させる→1日500文字以上執筆する
- 起業で成功する→起業に関する本を10ページ読む
などです。
自分が達成しやすい小さな目標を階段のようにつくっていけば、無理なく一つひとつ登ることができます。
結果的に達成感を感じやすくなって、幸福度アップにも繋がります。
今日からでもできるテクニックなので、ぜひいまからでも試してみるといいですね。
方法②早い時期に小さく始める

達成感を高める2つ目の方法は「早い時期に小さく始める」です。(『エッセンシャル思考』)
「早い時期に小さく」というのは、できるだけ早い時期に始めて、軽い負担で終わらせることをいいます。
自分がいま抱えている目標や締め切りを思い浮かべてみて、「今すぐできるかんたんな準備は何か」と考えて実践すると、達成感を感じやすくなります。
これは精神的な負担も軽くなるのでお勧めです。
いくつか例を挙げると、
- 2週間後の会議について、1分だけ時間をとって会議の目的をメモする
- 1か月後の出張日について、旅費がいくらかかるかアプリを使って調べてみる
- 半年後のプレゼン発表について、3分だけ思いついたアイデアを書き留めておく
などがあります。
早い時期に小さく始めるポイントは、長く時間をとりすぎないことです。
イメージとしてはランニングする前の軽い準備運動みたいな感じで、それをしておけば走り始めても負荷は少なります。
方法③進歩を目に見える形にする

先ほど「前に進んでいるという感覚」が僕らの達成感を感じさせると話しましたが、これを視覚化しよう!というのが「進歩を目に見える形にする」という方法です。(『エッセンシャル思考』)
あなたが小学生のとき、目標達成のためのすごろくシートのようなものを使ったことはないでしょうか?
1ページ勉強したら1つシールを貼ったり、音読が終わったらスタンプを押したりして、だんだんとゴールに近づくのが見えてワクワクした経験があったと思います。
自分がゴールに近づいていくのがうれしいという感情は、実は大人になってからも変わりません。
なのであなたが今もっている目標を見える化して、日々の小さな進歩を評価すると効果的です。
見える化する方法は何でもよく、たとえば資格の勉強を1ページするごとに1枚シールを貼るでもいいし、エクセルで今日1日何ページしたのか記録するでもいいですね。
「100頁達成ごとに自分にご褒美をあげる」など予め決めておくと、よりモチベーションは上がると思います。
小さな達成を繰り返せば、最初から大きな目標を立てるよりも、遠くまで歩くことができます。
自分が前に進んでいるという状態が見えるだけで、目標までの道のりは楽しく、幸福感に満ちたものになるはずです。
まとめ:結果よりもプロセスを楽しむことが重要

達成感(A)の高め方のまとめです。
【達成感の高め方】
- 方法①小さな目標をたくさん作る
- 方法②早い時期に小さく始める
- 方法③進歩を目に見える形にする
人は成長したい生き物です。
そのため「自分は成長しているなぁ」「ゴールに向かって進んでいるなぁ」という感覚をどれだけ感じられるかが僕らの幸福度を決めます。
目標までの道のりを苦しみながらするのではなく、その過程を楽しむことができれば充実感のある人生に変えることができます。
今回の達成編は比較的実践しやすいテクニックだったと思うので、ぜひ取り組んでみてください。
さて、次回で幸福論シリーズ最後になります。
最終章は「ネガティブ感情編」です。
僕らはネガティブ感情(N)が高まると、視野が狭まってパフォーマンスが落ちてしまします。
ネガティブな感情を減らせば、相対的にポジティブな感情や集中力も上げることができるので、次回はネガティブ感情に捉われない方法について紹介ができればと思います。
【参考文献・データ等】
・マーティン・セリグマン『ポジティブ心理学の挑戦 “幸福”から“持続的幸福”へ』
・キャロライン・アダムス・ミラー『実践版GRIT やり抜く力を手に入れる』
・テレサ M. アマビール ,スティーブン・クレイマー『幸せを得るには、「小さな成功」を積み重ねること』ハーバード・ビジネス・レビュー
・グレッグ・マキューン『エッセンシャル思考』