「アダム・グラントの5分ルール」とは?自己犠牲せずに人間関係を広げる方法
自己犠牲せずに人間関係を広げる「アダム・グラントの5分ルール」について紹介します。
アダム・グラントと言えば『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』の著者で有名な方ですね。
前回、成功ギバーの特徴となり方~あなたの人生を変える人間関係の法則~で、人間関係の築き方についてとり上げた方でもあります。
かんたんにまとめると、アダム・グラントは人には大きく3つのタイプがいるとしています。
受けとるよりも多くを与えるギバー、多くを奪うテイカー、バランスを考えるマッチャーです。
ギバーはトップになるか最下層になるか極端にわかれ、成功ギバーになるためには自己犠牲しないことが大事だという話でした。
では、自己犠牲しないための人間関係は具体的にどうつくればいいのでしょうか。
これについては嬉しいことに、アダム・グラントが「5分ルールを使うといいよ」と具体的なメソッドを出してくれています。
そこで今回は、成功ギバーが使っている人間関係の広げ方「5分ルール」について紹介したいと思います。
「5分ルール」とは何か?

成功ギバーが使う「5分ルール」とは、「5分もあればできる親切を、誰にでも喜んでする」というものです。
これをきいて「たったの5分だけなんて、ちょっと冷たいのでは?」と思った方もいたかもしれません。
ですがたとえ短い時間であったとしても、助けてもらったほうは感謝することがわかっています。
つまり大事なのはかけた「時間」ではなく「頻度」だということです。
恋愛でも電話をした時間ではなく、かけた頻度が親密度を上げることが分かっていますが、これと似たような現象が「5分ルール」でもいえるんですね。
もし5分を超えて親切をすると、あなたの生産性がガタ落ちしてしまいます。
5分を超えると失敗ギバーになる

スタンフォード大学のフランク・フリン教授が、サンフランシスコの大学電気通信会社のエンジニアを対象にしておこなった研究です。
フリン教授はエンジニアたちに、自分が受け取るよりも多くを与えているか、同じくらいか、少ないかという3つの観点で同僚を評価するようつたえました。
その後、ほかのエンジニアをどれくらい評価しているかを10点満点で評価させたところ、次のような事実があきらかになりました。
- ギバーは周りの同僚から非常に尊敬されており、信頼もされていた。
- しかしギバーの生産性は、長い時間をかけてまわりをたすけていたギバーほど落ちており、もっとも低かった。(失敗ギバー)
- 一方で、助けた時間が短くても頻度が多かったギバーは、生産性がもっとも高かった。さらに、長い時間をかけてたすけていたギバーよりも尊敬や信頼度が高かった。(成功ギバー)
同僚をたすけるのに時間をつかってしまった失敗ギバーは、その分、自分の仕事をする時間がへってしまうので、生産性が落ちてしまったんですね。
成功ギバーは時間をかけるかわりに、頻度を増やしてたすけることで、自分の生産性が落ちるのを防いでいます。
自己犠牲せずにまわりと良い人間関係をつくるためには、「たすける時間は短く、頻度は多く」するのが最適解だといえそうです。
そのため「5分ルール」を守ることが大事になっていくということですね。
ちなみにテイカーは、同僚からの評価は最下位という結果になってます。
たしかにたくさん頼みごとをするわりには全然恩返しをしないなら、信頼されなくなるのも時間の問題ですよね。
与えることは「感染」する

助ける頻度を多くすると、助けた人からだけではなく、グループ全体からも自然と助けてもらいやすくなります。
というのも、グループの中で与えることが当たり前になっている人がいると、ほかのメンバーも同じように与えるようになるからです。
これまで「恩があるから与える」というギブ・アンド・テイクの考え方から、「グループ全体の価値を増やす」という考え方に自然と変わっていくので、周りからサポートしてもらえるようになるのです。
「5分の親切」をするギバーが1人いるだけで、その周りの人たちもだんたんとギバーに変わっていきます。
ギバーが増えれば、価値全体が大きくなるので、自分が得られる利益をも大きくなります。(下図参照)

「5分ルール」を使って、自分が無理なく周りを助けていけば、人間関係をいい方向に変化させることができます。
とてもかんたんにできて強力な効果を出すことができるので、ぜひ実践してみてください。
まとめ:「5分の親切」で人間関係は広げられる

自己犠牲せずに人間関係を広げる「アダム・グラントの5分ルール」についてのまとめです。
【まとめ】アダム・グラントの5分ルール
- 「アダム・グラントの5分ルール」とは、5分もあればできる親切を、誰にでも喜んですること。
- 親切にする時間は5分を超えると生産性がガタ落ちするため、時間よりも頻度をふやすことがたいせつである。
- 助けた時間が短くても頻度が多かったギバーは、マッチャーやテイカーよりも生産性が高く、まわりから尊敬、信頼されていた。
成功ギバーは、価値をふやすために与えます。
もともとある価値を分けるのではなく、その価値自体を大きくして分けても取り分が増えるようにするのです。
成功ギバーはまわりを助けることでほかのメンバーもギバーになるよう後押しし、グループ全体の人間関係がよくなるように働きかけます。
自己犠牲せず良い人間関係をつくるためには「5分ルール」は必須です。
5分を超えてしまうと自己犠牲する失敗ギバーになって、自分の仕事がどんどん溜まってしまいます。
なのでまわりを助けるときは、必要以上に時間をかけないことが大事になっていきます。
少しの時間でも積極的にまわりを助けることができれば、まわりから認められ、社会的に成功する可能性もアップします。
ぜひ「アダムグラントの5分ルール」を使って、良い人間関係をきずいてみてください。
これを使えば、自分の時間もたいせつにすることができます。
ちなみにこの記事の元ネタになった本は、アダム・グラント『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』です。
この本から学べる人間関係の知識は一生モノです。
人との関わりもだいぶ楽になるので、もっと知りたい方は読んでみてはどうでしょうか。
【5分ルールに関するよくある質問】

そもそも5分以内に人を助けることできるの?

自分の強みや得意なことを活かせば可能です。
逆にいうと、5分以内で終わらそうと思ったら自分の強みや得意なことを活かすしかありません。
なので自分の長所を活かして、積極的にまわりをたすけるといいですね。
ちなみに自分の強みの活かし方は強みシリーズを見てもらえると幸いです。

テイカーとマッチャーが人間関係を広げる理由は?

テイカーは「自分を偉く見せるため」に有力者に近づいて仲良くなろうとしたりします。
なので立場が下の人には冷たいけど上司や社長に対しては上機嫌に振舞ったりします。
一方でマッチャーは「自分が大変な場面で助けてもらうため」に、人間関係を広げます。
ただ受けた恩は返そうとするので、助けてもらった人には機会をつくって恩返しします。
【参考文献・データ等】
- アダム・グラント『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』
【記事執筆】あすか
【Twitter】:https://twitter.com/askalabo