人間関係が最強に良くなるWISERモデル—ハーバード大学が提唱する5つのステップ—

人間関係

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人間関係が最強に良くなるWISERモデル—ハーバード大学が提唱する5つのステップ—

 今回は、人間関係が良くなるWISERモデルについて解説します。

 近年、84年の歳月をかけて行われたハーバード大学の研究が話題になりました。

  • 「人の幸せは何で決まるか?」

   をテーマにした研究で、結論が

  • 人の幸せは「良い人間関係」で決まる

   というものです。

 そこでハーバード大学は、人間関係を良くするための方法を『グッド・ライフにまとめました。

 今回は、その本の中で紹介された人間関係が良くなる方法の1つ「WISERモデル」の5つのステップを紹介します。

 WISER(ワイザー)モデルとは、

  • 家族
  • パートナー
  • 職場
  • 友だち

 などあらゆる人間関係を良くするために使えるテクニックです。

 特に個人間での人間関係を良くするに最強で、その効果がハーバード大学の研究で立証されています。

 ただこのWISERモデルの5つのステップは、実際にやろうとするとかなりエネルギーを消費します。

 そのため、WISERモデルはあなたが特に仲良くなりたい人間関係だけに使えばOKです。

 それでは、人間関係が最強に良くなるWISERモデルの5つのステップを見ていきましょう。

 人間関係が良くなるWISERモデルには、次の5つのステップがあります。

【WISERモデル5つのステップ】

  • ステップ1:観察する
  • ステップ2:解釈する
  • ステップ3:選択する
  • ステップ4:実行する
  • ステップ5:振り返る

 この5つのステップを踏むと、先入観にとらわれず人と関わることができます。

【図解】WISERモデル5つのステップ
筆者作成:【図解】WISERモデル5つのステップ(参考)ロバート・ウォールディンガー、マーク・シュルツ『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない

 人間関係で相手を誤解しないために、「観察」や「解釈」などのステップを踏もうということですね。

 といっても抽象的でイメージしにくいと思うので、具体例を挙げて解説したいと思います。

【図解】WISERモデル5つのステップ「観察」
筆者作成:【図解】WISERモデル5つのステップ「観察」(参考)ロバート・ウォールディンガー、マーク・シュルツ『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない

 人間関係が良くなるWISERモデル1つ目のステップは「観察する」です。

 WISERモデルでいう「観察」とは

  • 自分、相手、環境を観察すること

 をいいます。

 例えば、

  • 自分はどのように感じているのか、どうしてその感情がわいてくるのか?
  • いつもと同じ状況なら、次に何が起こるのか?
  • 現状のなかで何か大事なことを見逃していないか?

 などと「観察」します。

 「観察」のステップを踏めば、相手を誤解したり、先入観にとらわれなくなります。

 例えば、分かりやすいように若い男女のカップルを例で考えてみます。

 彼ら若いカップルは、いつも毎日連絡を取り合っています。ですが、彼女の方から突然数週間連絡が取れなくなりました。

 そこで彼氏は、

 「ずっと連絡しないなんてひどい!もう彼女とは別れる!」

 とパートナーに対して思ったとします。

 ですがその前に「観察」のステップを踏んで一時停止します。

  • 自分はイライラしている。なぜなら彼女が突然連絡しなくなったからだ。
  • 連絡がなかったのは、彼女が忙しくて連絡する余裕がなかったのかもしれない。
  • 自分は何か大きな誤解をしているのでは?

 などと状況全体を観察します。

 こうした考察を行うのは、相手がしたことを許すためではありません。

 あくまでも、その状況の背景を正確に把握するために行います。

 ロジカルシンキングの記事でも紹介したように、物事を正しく観察するためには、1つの情報だけでなく、できるだけ多くの情報を集めることが大切です。

 「観察」が終わったら、その状況が自分にとって何を意味するかを知るためステップ「解釈」に移ります。

【図解】WISERモデル5つのステップ「解釈」

筆者作成:【図解】WISERモデル5つのステップ「解釈」(参考)ロバート・ウォールディンガー、マーク・シュルツ『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない

 人間関係が良くなるWISERモデル2つ目のステップは「解釈する」です。

 「解釈」では、観察で集めた情報をさらに掘り下げていきます。

  • 今、こう感じているのはどうしてか?
  • この感情はどこから生じているのだろう?
  • 今の状況の何が自分にとって重要なのか?

 などと考えます。

 先ほどの男女のカップルの例でいえば、

  • 彼女がいきなり連絡しなかった状況を、自分が重要だと思っているのはなぜだろう?
  • それは自分がパートナーとのコミュニケーションを大切にしているからだ。だから急に連絡が途絶えて自分はイライラしているのだ。
  • 彼女とは毎日連絡を取っていたが、自分は全く愛情表現をしていなかった。だからきっと相手は寂しかったのではないか?
  • 彼女は自分が愛されているのか不安で、連絡をやめてしまったのかもしれない。

 などと視野を広げていきます。

【図解】WISERモデル5つのステップ「選択」
筆者作成:【図解】WISERモデル5つのステップ「選択」(参考)ロバート・ウォールディンガー、マーク・シュルツ『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない

 人間関係が良くなるWISERモデル3つ目のステップは「選択する」です。

 状況をしっかり観察し、解釈して視野を広げることができたら、次は自分が何をするべきか「選択」します。

 人はストレスを感じると、選択肢を狭めて感情的な反応をしてしまいがちです。

 目の前の状況にイラついて、いきなり相手を責めてしまったりします。

 なので一度スピードを落として、自分はどう行動するべきか色んな選択肢を検討しようということですね。

 「選択」では、

  • 自分が目指すべき結果は何だろう?
  • あの方法ではなくこの方法を選んだら、うまくいく可能性はどうなるだろう?
  • 自分は何を達成したいのだろう?

 などをベースに考えます。

 こちらもいきなり彼女からの連絡が途絶えた彼氏の例でいえば、

  • 自分が目指すべき結果は、パートナーと仲直りすることだ。そのために自分はどんな選択をすべきだろう?
  • きっと相手を言葉で責めるのではなく、まずは相手の気持ちを受け入れるのが大事だ。
  • →相手が急に連絡しなくなったのはきっと愛情表現がなくて寂しかったからだろう。だからまずは自分からスキンシップをとるのが大事かもしれない。

 と、お互いにとってベストだと思う方法を「選択」します。

【図解】WISERモデル5つのステップ「実行」
筆者作成:【図解】WISERモデル5つのステップ「実行」(参考)ロバート・ウォールディンガー、マーク・シュルツ『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない

 人間関係が良くなるWISERモデル4つ目のステップは「実行する」です。

 「実行」では、自分が選択した行動を実行するステップに入ります。

 じっくり状況を観察、解釈し、いろんな選択肢とその成功の可能性をよく検討して選択すれば、うまくいく確率も上がります。

 ステップ3の「選択」では、

  • 目指すべきは相手を責めるのではなく、仲直りすること
  • 相手の寂しさを埋めるために、愛情表現をすること

 を選んだので、それを「実行」します。

 もしそれで相手の怒りがおさまり、自分の話を聴いてくれる状態になったら、しっかりと状況を観察、解釈、選択できたといえます。

 「実行」では、ステップ1の「観察」で気付いた自分の気持ちも伝えられるとベストです。(例:「自分が大事にしているのはコミュニケーションだから、いきなり連絡がなくて寂しかった」など)

 逆に、パートナーへの愛情表現でスキンシップをとろうとして拒否されたら、彼が状況を上手く観察できなかった可能性があります。

 その場合は、観察→解釈→選択のステップを何度も繰り返し実践して練習する必要があるでしょう。

  • 「自分のイライラが表情に出てしまっていた」
  • 「スキンシップされるよりも、相手は自分の話を聴いてほしかった」

 など、新たに考えられる原因が見えてくるかもしれません。

 WISERモデルはやればやるほど上手くなります。

 慣れないうちは「少し時間が欲しい」と相手に伝えて、タイミングを見てまた話しかけてみるのもアリです。

筆者作成:【図解】WISERモデル5つのステップ「振り返り」(参考)ロバート・ウォールディンガー、マーク・シュルツ『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない

 最後、人間関係が良くなるWISERモデル5つ目のステップは「振り返る」です。

 定期的に自分の経験から学んだことを振り返ると、次の場面で役に立ちます。

  • 行動を起こした結果、自分はうまくいったといえるだろうか?
  • 状況はよくなったのか、それとも悪くなったか?
  • 自分が直面している問題について、新たな学びや最善の対応策を得ることができただろうか?

 などと考えていきます。

 振り返りは、今起きたばかりの出来事だけではなく、過去に起こったこと、記憶にずっと残っていることなど、どんな出来事に対しても使えます。

 振り返る対象は、自分が特に重要だと思っている人間関係に限定して構いません。

 というのも、WISERモデルは実際に使ってみるとかなりエネルギーを使うんですよね。

 なのであなたが優先したい、特に大事にしたい相手に使うのをお勧めします。

 「振り返り」は今回例で紹介したパートナーとの関係以外にも、家族や友人、職場の人などいろんな人間関係に対して使うことができます。

 【振り返り用のモデル】を次にまとめます。

 自分が悩んでいる問題や状況について、ぜひ定期的に「振り返り」をしてみてください。

【振り返り用モデル】

~人間関係の改善に使える5ステップ~

ステップ1:観察する

  • 問題に正面から向き合おうとしたか、それとも避けようとしたか?
  • 時間をかけて状況を正確に把握しようとしたか?
  • 相手と話をしたか?
  • 誰かに相談して意見をきいたか?

ステップ2:解釈する

  • この状況において、自分が何を感じ、自分にとって何が重要かを理解していたか?
  • この状況下での自分の役割を進んで考えようとしたか?
  • 自分の問題に気をとられすぎて、周りの状況に十分気を配っていなかったか?
  • この状況において起こっていることを理解するのに、別の方法はないだろうか?

ステップ3:選択する

  • 自分が望む結果をはっきりイメージしていたか?
  • 可能な対応策をすべて検討したか?
  • 活用できる材料や手段をうまく見つけられたか?
  • 現在抱えている課題の達成に最適な手段を選択したか?

ステップ4:実行する

  • 自分で実行するのと、信頼できる人にまかせるのとでは、対応策の成功率を上げるためにはどちらがよかったか?
  • 現実的なステップを踏んだか?
  • 進捗状況を評価し、必要に応じ、進んで軌道修正できたか?
  • 急いで片付けてしまったステップ、しくじったステップ、省いてしまったステップはどれか?うまくできたステップはどれか?

ステップ5:振り返る

  • 状況はよくなったのか、それとも悪くなったか?
  • この経験から何を学んだか?
  • 振り返りによる反省点を踏まえ、今後、別のやり方を実行するにはどうしたらよいか?
  • 行動を起こした結果、自分はうまくいったといえるだろうか?

 いつでも見返せるように、上のリストをコピペしてメモ帳アプリなどに貼っておくのをお勧めします。

 人間関係が最強に良くなるWISERモデルのまとめです。

人間関係が最強に良くなるWISERモデルのまとめ

  • WISERモデルとは、ハーバード大学が提唱する人間関係が良くなるステップをまとめたもの。※特に個人間での人間関係を良くするに最強。
  • WISERモデルは、職場の人やパートナー、自分の子供や友人などあらゆる人間関係に使える。※特に大切にしたい人間関係に使うと効果的。

【WISERモデル5つのステップ】

  • 【振り返り用モデル】を使って自分の経験から学んだことを定期的に振り返ると、将来役に立つ可能性が上がる。

 WISERモデルの5つのステップは、最初できるようになるまでは難しいと思います。

 ですが慣れてくると、人間関係の改善に大きく役立てることができます。

 自分がハマりがちな思考のパターンから抜け出すことができます。

 自分の親や子供、パートナーや親友など、あなたが特に大切にしたい人間関係にぜひ使ってみてください。

 人間関係をよくする方法については、ハーバード大学がまとめた『グッド・ライフ』がお勧めです。

 今回紹介したWISERモデル以外にも、人間関係を改善する方法が豊富にまとめられています。

 グッド・ライフ』はオーディオブックで無料で聴けるので、さらに人間関係を良くする方法を知りたい方は、ぜひ試しに聴いてみてください。

【記事執筆】あすか

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