問題解決能力の意外な身につけ方 |「ユーモア」に隠された驚くべき事実

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問題解決能力の意外な身につけ方 |「ユーモア」に隠された驚くべき事実

 前回、正解率10%の問題「健康な細胞を傷つけずに腫瘍を破壊するには?」を解決する方法として、

  • 「幅広い知識」を応用すると問題解決能力を8倍にできる!

 という例を紹介しました。

 ですが別の研究を見てみると、

  • 実は「幅広い知識」以外にも問題解決能力を上げる方法がある!

 との事例をみつけたので、今回はほかのアプローチを使って、問題解決能力を上げる方法を紹介します。

 心理学者アリス・アイゼンと同僚たちは、次の「ドゥンカーのロウソク問題」と呼ばれる問題を参加者に解いてもらいました。

【ドゥンカーのロウソク問題】

図解「ドゥンカーのロウソク問題」ロウソク1本、画びょうが入った紙の箱、マッチ
図解「ドゥンカーのロウソク問題」

 上図のように、テーブルの上には以下の道具が配られている。

  • ロウソク1本
  • 数個の画びょうが入った紙の箱
  • マッチ

 これらの道具だけを使って壁にロウソクを固定し、火をつけるにはどうしたらいいか?

 ただし、溶けたロウが下のテーブルにこぼれてはいけないものとする。

 人間は一度定義されると、それ以外の可能性がみえなくなります。

 答えを知らない人は、ほぼ解けないといわれている問題です。

 解いてみたい方は、しばらく考えてみてください。

 答えを思いついたでしょうか?

  • 画びょうを水平に刺してろうそくを横にしておく?
  • ろうを壁に垂らして足場を作って固定する?
  • マッチと画びょうを組合せてろうそくを立てる?

 いろんな答えが出てきたと思いますが、やり方は非常にシンプルです。

図解「ドゥンカーのロウソク問題の答え」
【図解】「ドゥンカーのロウソク問題の答え」

 正解は、

  • 「画びょうに入っていた箱を画びょうで壁にとめ、ろうそくを置く」

 が答えです。

 この答えをみて「え?画びょうが入っている箱って使っていいの?」と思った方がいるかもしれません。

 その場合は、あなたがバイアスにはまってしまっている証拠です。

 この現象は5歳児とか子供に対しては見られないですが、僕らは大人になるにつれて決まり事を覚えていくので、自然とバイアスにハマってしまいます。R

 今回の場合は、

  • 箱を画びょうの入れ物としか思えない

 がバイアスになっています。

 「画びょうが入っている箱を使う」という解決策にたどり着くためには、脳が「機能的固着」を克服する必要があります。

 「機能的固着」というのは、

  • 一般的な使い道以外の方法をなかなか思いつけない認知バイアス

 をいいます。

 こういったバイアスは、仕事や生活などで身の回りに起きています。

 例えば、

  • 「自分はまだ若いから起業なんて無理だろう」
  • 「大学で法律を学んだから、仕事は法律関係の仕事に就くべきだ」
  • 「通勤時間は移動する時間だ」

 なども機能的固着です。

 一度この機能的固着にハマると、ロウソク問題のようになかなかバイアスから抜け出せなくなり、柔軟な発想ができなくなります。

 このロウソク問題のような機能的固着から抜け出すにあたって、1つ意外な方法があります。

 それは、

  • 「ユーモア」が解決力を高める糸口になる

 との研究です。

 ユーモアが参加者たちの解決力向上にどの程度の影響を及ぼすかを調べた実験です。

 ロウソク問題を解かせる前、半数の参加者にはとくに感情を呼び起こさないビデオを、もう半数の参加者にはユーモアのあるビデオを見せました。

 その結果、

  • ユーモアのあるビデオを観た人たちのほうが、正解にたどり着いた人数が2倍も多かったR

 との結果が出ました。

 参加者たちは、笑ったことで機能的固着を克服しやすくなり、新たなつながりや連想を思いつきやすくなったのです。

 ユーモアが創造力や問題解決力を上げるのに繋がるのは意外ですよね。

 今回の記事のまとめです。

  • 問題を解決するには、機能的固着から抜け出す必要がある。
  • 機能的固着とは、「一般的な使い道以外の方法をなかなか思いつけない認知バイアス」をいう。(「この箱は画びょうの入れ物だ」など)
  • 機能的固着から抜け出すには、創造力を上げる必要がある。
  • 創造力を高めるには「ユーモア」が効果的である(実際、ユーモアのあるビデオを観た人たちの正解率は2倍に上がった)

 前回紹介した解決力を上げる方法では

  • まったく違うジャンルから共通しているものを見つけて解決策を考えよう

 といった方法をとっていましたが、

 ここでは、

  • ユーモアで創造力を上げて解決策を考えよう

 といったアプローチで対処しています。

 ユーモアで自由な発想で考える力をつけて、問題解決能力を上げたのです。

 冒頭で挙げた例についても、ユーモアで創造力を高めれば、

  • 「自分はまだ若いから起業なんて無理だろう」→起業は年齢関係なくできる!
  • 「大学で法律を学んだから、仕事は法律関係の仕事に就くべきだ」→別にジャンルの違う仕事に就いてもいい!
  • 「通勤時間は移動する時間だ」→オーディオブックが聴ける!

 などと、自分の視野を広げることができます。

 もし、あなたが何か問題に行き詰まったときは、

  • YouTubeでお笑い動画を見てみる
  • ユニークな設定のアニメを観てみる
  • X(旧ツイッター)で大喜利に参加してみる

 などを実践すると、創造力が高まって解決策を思いつけるようになるかもしれません。

 ちなみにユーモアを上手く使う方法については、『ユーモアは最強の武器である』がお勧めです。

 過去記事で紹介した「ユーモア4タイプ診断」や「ユーモアを仕事で活かす方法」などについて書かれています。

 ユーモアを中心に特化したちょっと変わった本ですが、興味のある方はぜひ読んでみてください。

【記事執筆】あすか

【X(旧Twitter)】:https://twitter.com/askalabo

【Instagram】:instagram.com/aska.labo

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