鴻上尚史,佐藤直樹 『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』 ④[ラスト]【第4回ZOOM読書会】

はじめに

 前回()の続きです。今回でラストになります。

 私が以前から紹介しているのは、鴻上尚史(こうかみ しょうじ)さんと佐藤直樹(さとう なおき)さんが対談したものをまとめた『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』という本です。

 みなさんも日常生活の中で、「日本って何でこんなにも息苦しいのだろう」と感じる部分というのはいくつかあると思います。

 その息苦しさの代表的な一つを取り上げるとしたら「同調圧力」というのがあります。

 今回は息苦しい「同調圧力」から解放される方法について、

A 「世間」ではなく「社会」とつながる

A 信頼できるデータを提示する

A あなたに責任があるのではない

 この3つをピックアップして紹介したいと思います。

方法①「世間」ではなく「社会」とつながる

 息苦しい「同調圧力」から解放される方法の1つ目は、A「世間」ではなく「社会」とつながるというものです。

 本から抜粋したものを読み上げていきます。

出典元:いらすとや,鴻上尚史,佐藤直樹 『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』

 じゃあどうすればいいのかということで、鴻上さんがこんな解決策を述べています。

出典元:いらすとや,鴻上尚史,佐藤直樹 『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』

 これはつまりどういうことかというと、例えば、会社だけの世界しか所属していないとか、そういう強い世間1つだけにいたとします。

 その場合は、会社以外にも社会人サークルに入るとか趣味やボランティアサークルに通うとか地域の共同体の何かに参加するとか。そういう会社以外の世界と自分を繋げていくということを話しています。

 なので、こういうZOOM読書会も会社以外の社会と繋がるということになります。

 会社ではなく、専業主婦の人なら、家庭だけを唯一の「世間」にしないということも話しています。

 つまり、会社だけとか家庭だけとか、自分をたった一つの強力な「世間」のなかに閉じ込めないようにしようということです。

出典元:PAKUTASO

 ですので、いろんな「世間」や「社会」に所属したほうがいい。それがゆるい関係でいれば、多少風通しはよくなるんじゃないかということを述べています。

 実際、私が社会人1、2年目のとき別の会社にいたときは、職場の同調圧力が酷くて、毎年1回行われるストレスチェックで「高ストレス者」に該当するくらい苦しい時期がありました。

 その時に、この本の解決策を読んで、スポーツとか読書会サークルとかいろんな社会と繋がるようにしました。

 そしたら、凄い精神的に楽になったんですよね。自分を飾らなくていい場所がいくつかあるというのは、ガス抜きにとても良かったなと感じています。

出典元:いらすとや

 いま私は社会人4年目なんですけど、社会人3年目のときに、今の会社に来てからも、いろんな社会と繋がることを大事にして、こういったZOOM読書会とかにも参加しています。

 その結果、大分世間の息苦しさからは解放されている感覚があります。

 「会社以外の世界と繋がる」

 これは自分の人生を面白く楽しくするうえでとても大事なことだと私は考えています。

出典元:PAKUTASO

 これがこの本の1つ目の同調圧力の強い日本社会で生きていく方法でした。

 ここまで何か自分はこう思ったとか、こういう経験があったとか、こういうことを感じたとかあれば聞かせていただきたいです。

A 同調圧力には、いい面と悪い面がありますよね。

 ドイツの哲学者が話していましたけど、日本人は、無意識にコミュニケーションをしているという。俺たちからすると同調圧力で苦しいけど、外国人から見たらすごい。

出典元:いらすとや

 日本人って動物に例えると、集団で一つの行動をする。そこは評価してもいいと私は思います。

A 東日本大震災のとき、社会全体がパニックになって騒ぐことなく、行列に並べる日本人は海外から「ありえない。日本人は凄い」と評価されていましたね。

 確かに同調圧力が良い面として機能する面はあると思います。

A 世間とか社会とかじゃなくて個人的な意見なんですけど、「繋がる」って表現は凄くいいなと思いますよね。「繋がる」ということなんですよね「社会」と。

 それが「絆」になると窮屈になる。

A 「絆」は私も窮屈だと感じます。そもそもの「絆」の語源って馬とか動物を繋ぎ止める綱のことをいうと何かの本で読んだことがありますが、窮屈なイメージですよね本来は。

Q この本が述べている「世間」の定義とはどういったものでしょうか?

A 「あなたと私は同じの時間を生きている」「感情的な連帯を生むもの」「人間平等主義」こういたものを「世間」としていますね。

出典元:O-DAN

A 僕の経験としては確かにあれですね、決められた組織だけに入っていると窮屈だと感じる。

 必ずどこかの会社とは別の団体というか、別のコミュニティに入ることで息苦しさから解放される。

 どうやって繋がりをつくるのかということですよね。

方法②信頼できるデータを提示する

 次に2つ目を紹介します。

 2つ目の同調圧力の強い日本社会で生きていく方法の一つはA信頼できるデータを提示するというものです。

 こちらも本から抜粋したものを読み上げていきます。

出典元:いらすとや,鴻上尚史,佐藤直樹 『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』

 感覚的なものより、信頼できるデータを使って客観的に現状を把握する。それが説得的だと私も思いました。

 よく町で問題が起きたりすると、街中インタビューのなかで、主婦らしき方がですね「もう怖くて外出れません!」とか答えていたりするシーンとかみます。

 でもよくよく考えてみたら「あなた堂々と外出てるじゃないですか」っていうのはありましたね笑。

 これは余談ですけど、せっかく全国に事件を報道するなら、本来はそれが起きないようにこうした方がいいという予防法を伝えた方が私は良いと思いますけどね。

 事故が起きた現場の様子とか、街中インタビューを聞いてもあまり意味がないと思います。

出典元:PAKUTASO

 なぜその犯罪が起きたのか、今後こういったことが起きないためにどうすればいいのかを伝えたほうがいいと思います。

 でもそれを報道するために専門知識が必要になるので、それが手間だから報道しないのだろうなと思います。

 これが、この本で述べている2つ目の同調圧力の強い日本社会で生きていく方法でした。

 先ほどと同じように、ここまでで何か自分はこう思ったとか、こういう意見がありますとか、こういうことを感じたとかあれば聞かせていただきたいです。

A 信頼できるデータを提示するというのはあるんですけど、データもあまり期待できない。

 どうしても視聴率のデータしか提示しない。ネットはネットでそれぞれ個人が好きなデータを配信するというのがあるので、どれを信じたらいいのか。

出典元:PAKUTASO

 私としてはやっぱりこれに期待するよりは、自分で調べて自分にとっての一次情報。

 自分で調べるということが大事だと思いますね。

A 思い出したのは、私が大学の頃に統計学のコースを受けたことがあって、データの見せ方はいろいろ加工できることを知りました。

 見せ方としてそれぞれの相対的な違いをピックアップするとかいろいろ方法ある。

出典元:O-DAN

A メディアが意図的に報道しようとしたら、おそらく日本の中で突出している県だけをピックアップするんでしょうね。

方法③あなたに責任があるのではない

 では最後に移っていきます。最後3つ目はAあなたに責任があるのではないというところです。読み上げていきます。

出典元:いらすとや,鴻上尚史,佐藤直樹 『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』

 世間の同調圧力というのは、もう自分ひとりの力ではコントロールすることはできません。

 変えられないものに対してエネルギーを使うのは時間の無駄だと思います。

 それよりは、職場以外のいろんな社会人サークルとか趣味的な集まりの人たちとつながったり、家庭以外にもこういった読書会を通してZOOMでつながったりすることが大事だと思います。

 もう一つ、あるいは2つ3つ、自分の居場所を作るということが、自分の心の中の風通しを良くするうえで大事なことになっていくんだろうなと感じました。

 私が社会人1、2年目のときは職場しか世間がなくて、非常に辛い日々を過ごしていました。

出典元:PAKUTASO

 同調圧力という変えられないものに対していろいろ考えてしまって、苦しい時期が続いていました。

 でもこの『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』という本をとおして、日本社会の同調圧力の仕組みをしることができて、ふっと楽になった気持ちになりました

 どう賢く生きるのかという解決策も提示していたので、私はこの本と出会えて良かったと思います。

感想など

 これで私の本の紹介は終わるんですけれども、最後に何か感想等あれば聞かせていただければと思います。

A 今回「同調圧力」をテーマにあなたは4回に分けて発表した。

 「色々職場でしんどいこともあって、本と出会えて良かった」とあった。

 まぁ同調圧力っていわれたらそうだよなって思うし、日本は村社会的な文化っていうあるっていうのはよく言われる話だと思うんですけど、対人援助の仕事とか、いのちの電話とかキリスト教とかいろいろある。

 生きづらさを解消してくれるところもあり、同調圧力にあらがっているのは、一部の人だけじゃないかもしれない。

出典元:PAKUTASO

 けっこうたくさんの中で、生きるためにいろいろ活動していることだと、改めていろいろ気づかされました。

A 今日も沢山の方の意見を聞けて私の方も非常に勉強になりました。

A 今回は「心の読書会」「命の読書会」みたいな、今までとちょっとノリが違って不思議な読書会だと感じました。有り難うございました。

【参考】

・鴻上尚史,佐藤直樹 『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』

第4回「ZOOM読書会」(2022/09/04)

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